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2017.11.6

槙 -KOZUE- の開発

皆様こんにちは。

中野BC㈱食品科学研究所の久米です。

 

ついに11月1日、中野BC㈱はクラフトジン 

「槙-KOZUE-」

 を発売するに至りました。

(呼称は“こずえ”です)

外観②

本商品では、世界ではじめて(だと思います)

「コウヤマキ」

を原料として使用したお酒です。

コウヤマキ

まるで森林浴をしているかのような、リラックスできるコウヤマキの香りを楽しむことができるクラフトジンです!

 

今回はそんなKOZUEの開発当時の話をしたいと思います。

妹尾さんのブログ

槙-KOZUE-プレス発表会の裏側

で若干ハードルを上げられてしまっているので、少しだけ文章量多めです(いつもですが)。

 

【開発当時の話】

思い返せば数年前・・・

営業部のN氏から唐突にコウヤマキの葉っぱを渡され、こう言われました。

「久米ちゃん、これうちから採ってきたんやけど、これ酒へ浸けて“和歌山ズブロッカ”みたいなんできひんかな?」

もうね、爆笑しましたね。何言ってんだこの人って感じで(笑)

本当、こういう発想できるN氏を心から尊敬しています。

 

おもしろかったので早速試しました。

じゃあ実際飲んでみようということで、ズブロッカも購入し、N氏と飲み比べてみたところ・・・

「(2人で)全然ちゃうやん!ジンやん!」ってなりました。

 

ジン(特にドライジン)は、主に穀類や廃糖蜜なんかを発酵・蒸留させて作ったスピリッツにボタニカル(特に植物の草根木皮)を漬け込んで再度蒸留したり、蒸留時に通過させたりすることで、ボタニカルの香りで風味付けしたスピリッツです。

そんなジンで使用されるボタニカルの中核を担う存在で、「ジュニパーベリー」というセイヨウネズの実があります。

ジュニパーベリー

ジンといえば必ず使用されるボタニカルで、ジュニパーベリーを一口噛んでみると、ジンの香りそのものといった印象を受けます。

このジュニパーベリー、香りの主成分として「α-ピネン」と呼ばれるものを持っています。

N氏と2人で衝撃的な体験をした後、コウヤマキの香りの成分を調べてみると、「α-ピネン」を多く有することが分かりました。

あたり前ですが、同じ香り成分を多く含んでいたことで、ジンの香りがしてたんですね。

ただおもしろかったのが、ジンっぽい香りを持ちつつ、やはりコウヤマキ独特の気分が穏やかになるような青々しい香りを持っていました。

蒸留酒ですので、もちろん糖分は入っていないのですが、何とも言えない甘味を感じ、気分が穏やかになるような、まさしく高野山の森の中を歩いているかのような気分になれました。

 

「こうなったら、徹底的にコウヤマキを使ったジンを造ってやろう!」

そう決意した瞬間でした。

 

ここから開発がスタートしましたが、もちろん長かったのはここからです。

コウヤマキ単独の蒸留酒がいいのか?コウヤマキは何か処理をするべきか?他の素材を合わせるのか?和歌山らしさをもっと出すには?そもそもジンである必要はあるのか?中野BCが出していいのか?いきなりジンとかやっても営業部売りにくくない?そもそもこんなん売れるん?ジン作るとか会社OK出すん?

(後半開発や製法からそれてますが、試作途中あるあるです 笑)

 

商品を開発し、いよいよ発売に向けて様々なプロモーション活動に参加させていただくと、よく「開発の苦労話を聞かせてください」や「一番苦労した点はどこですか?」などの質問を受けます。

はっきり言いますが、”苦労”は一切してません!

あれこれ考えて、考えて、考え抜いてますが、その間ずっと“楽しい”と思ってます。

今回の開発は特にそうでした。

上に書いたことも、考えるのが楽しくてしょうがないといった感じでした。

会社にいても、家に帰っても、友人と飲んでいても、

「この素材をぶつけてみたらどうか」とか、「こんな作り方してみたらどうか」とか、「どうやったら社内の人たちをのせられるか」など、ずっと頭を駆け巡っていて、その間ワクワクしている自分がいました。

思いついたアイデアをすぐに試したくて仕方がない!と思いながら、毎朝出勤していたのを覚えています。

 

そんな感じで楽しみながら、あーでもない、こーでもないと試作開発を続けていった結果、ついに「槙 -KOZUE-」は誕生しました。

 

【原料へのこだわり】

最終的にコウヤマキの良さを引き出すため、「温州みかんの皮」「レモンの皮」「山椒の種」「ジュニパーベリー」を合わせました。

原料5種類

「温州みかんの皮」はもちろん和歌山県産のものを使用。

KOZUEにとって、温かみのあるやわらかな甘い香りに貢献してくれてます。

特にこの素材のおかげでKOZUEのしっかりとしたボディ感を演出してくれました。

 

「レモンの皮」も和歌山県産のものを使用。

温州みかんで出てきたやわらかなボディ感に華やかで爽やかな加わり、KOZUEの味わいの輪郭がよりはっきりしました。

 

「山椒の種」も和歌山県産。

山椒も柑橘類ですので、温州みかんとレモンの邪魔をしないよう、あえて種だけを使用。

これが見事にはまり、独特のスパイシーさがKOZUEのキレを演出してくれています。

 

「ジュニパーベリー」はヨーロッパ産。

コウヤマキの香りを底上げしてくれており、両者が混じり合うことで、コウヤマキが持つグリーンな香りを豊かに広げてくれています。

 

また、使用する元のスピリッツもコウヤマキの良さを出すために、何が合うのかを探し抜きました。

様々なアルコール類を試しに試しまくったのですが、ここについては全く無味無臭のものを選びました。

中野BCは今まで梅酒造りに力を注いできております。

梅酒で使用するアルコールには様々なものが使用されることもありますが、やはり王道はホワイトリカーです。

今回もその経験が参考になりました。

「コウヤマキそのものの良さを感じて欲しい」

だからこそ、余計なものは加えず、アルコールは無味無臭の醸造アルコールを使用しています。

 

こうやって、まるでコウヤマキの森の中を歩いているかのような、穏やかで豊かな香りを楽しめるクラフトジン

「槙 -KOZUE-」

は誕生しました。

 

【ネーミング・デザインへのこだわり】

「槙」という漢字を辞書で調べてみると、

①まき。マキ科の常緑高木。

こずえ。枝の先端。

という2種類の意味がでてきます。

この「こずえ」という響きに感銘を受けました。

穏やかで、優しい、おっとりとした印象を受けます。

また、「こずえ」という言葉自体が「枝の先端」の意味を持ちます。

「枝の先端」という点から、青々しさやこれからの広がりを想起できるため、今回の商品にうってつけだと思い「KOZUE」という名前を付けました。

外観①

瓶はKOZUEの透明感が一目で分かるように透明のもので、少し柔らかな印象を与える曲線をあしらったものを選びました。

キャップやラベルは白を基調とし、清涼感や清潔感をイメージしてもらえるようなものを選びました。

ラベルデザインはデザイナーと再三協議を重ね、ナチュラルであまり主張し過ぎず、かつ商品が伝わるような内容に仕上げていただきました。

 

 

【創業者からの想い】

中野BC㈱は1949年「富士白」という甲類焼酎の製造・販売をスタートします。

さらにその後、様々な焼酎を開発し続け、ついに2004年、業界初の梅酒を蒸留した梅スピリッツ「貴梅酎」を発売します。

中野BCは創業当初から蒸留酒には深い思い入れがあります。

蒸留所

今回、そんな創業者からの蒸留酒に対する想いをさらに発展させようと、蒸留酒部門を強化すべく

「富士白蒸留所」

という新規蒸留酒ブランドを立ち上げます。

今回のKOZUEがこのブランドの第1号の商品となっており、今後どんどんスピリッツや焼酎の新たなアイテムを開発していく予定です。

 

 

今回のブログで“ほんの少しだけ”KOZUEに関して語らせていただきました。

まだまだ言い足りない部分は山ほどありますので、どこかの機会でお話しできればと思います。

 

徹底してこだわり抜いて作り上げた「槙 -KOZUE」

皆様、是非一度ご賞味いただければ幸いです!

長久庵オンラインショップ:http://shop.nakano-group.co.jp/shopbrand/ct172/